砲兵

独ソ戦ZiS-3 76mm野砲を使用するソ連赤軍の砲兵

砲兵(ほうへい、: artillery)は、陸上戦闘を行う兵科の1つであり、火砲(大砲)・ロケットミサイルによる支援攻撃を担っている。日本陸上自衛隊では特科(とっか)と称される(自衛隊用語)。

概要

大日本帝国陸軍1882年(明治15年)当時の砲兵下士卒の軍装
ブラウ作戦15cm Kanone 18を使用するドイツ陸軍の砲兵(1942年)

20世紀初頭、特に第一次世界大戦以降において砲兵が多用する間接射撃による攻撃は、目標へ正確に弾着でき、自らの位置が露呈しない限りにおいては非常に有効な方法である。また、戦闘前面から数km以上離れた位置から射撃出来るため、直接射撃による攻撃を受けて部隊が損耗する危険を小さく出来る。特に比較的低コストである砲弾を多量に投射出来る大口径の火砲を多数並べて一斉に射撃する攻撃では、強固な陣地構築物を除いてあらゆる目標物が広範囲に破壊できるため、ロケット・ミサイル技術の普及した現代においても有用な手段である。

火薬の普及以来、砲兵と火砲は野戦攻城戦において重要な役割を果たしてきた。特に三十年戦争ナポレオン戦争では、カノン砲(加農砲・加農)や榴弾砲を持つ砲兵の有無、火砲の数と配備位置が勝敗を決した。さらに、当時まだ重要な戦略・戦術であった攻城戦においても、大口径の重砲が無くては外壁を打ち崩せなかった。

近代的な火薬装薬)を使った火砲は15世紀頃からみられるが、それらを扱う専門の兵科たる「砲兵」が確立されたのは18世紀フランスであり、砲術家ジャン=バティスト・ヴァケット・ド・グリボーバルによる組織改革に端を発する。それ以前は火砲の運搬は民間の請負業者(軍夫)の仕事であったが、グリボーバルは運搬・整備・射撃までの一連を、軍の将兵(砲兵)の任務とした。また、火薬の取り扱いや冶金技術などの知識・スキルをはじめ、砲弾の照準に重要な物理法則およびその基礎となる近代数学といった高度な自然科学の素養を必要とする砲兵将校を育成するための軍学校を設立し、砲術理論および戦術を教授した[1]

移動手段として初期には人力やによる牽引(騎馬砲兵)が主流だったが、後世には自動車による牽引や砲自体に移動能力を持たせる自走砲も登場した。特殊な運用法としてラクダの背に旋回砲を乗せて移動砲台とするザンブーラキがあった。

分類

重迫撃砲(120mm迫撃砲 RT空挺特科大隊など砲兵が運用することもある。
自走榴弾砲(M109 155mm自走榴弾砲

階梯

直接支援(DS)砲兵
戦術階梯で運用される砲兵で、火力支援を主に、阻止攻撃を従にしている。運用砲としては、重迫撃砲や軽砲を装備するのが一般的であるが、自動車化の進展による機動力の向上を受けて、現在では全般支援砲兵と同一の中砲を装備する場合が多い。
全般支援(GS)砲兵
作戦術戦略階梯で運用される砲兵で、阻止攻撃を主に、火力支援を従にしている。運用砲としては、作戦術階梯においては中砲、戦略階梯においては重砲やロケット砲、ミサイルが装備される。

運用砲

砲兵は運用する砲の種類によって3つに分類できる。

在来砲兵
野戦砲を運用する。
軽砲
西側:口径75mm、105mm 東側:口径76mm、122mm
  • 105-122mmの軽榴弾砲第一次世界大戦頃ないし戦間期から、口径75-84mmの野砲と共に師団/旅団所属砲兵の主力(師団砲兵)として運用されるようになり、第二次世界大戦頃にはどこの国の軍隊でも使用されるようになった。
  • 軽榴弾砲は戦後も長期にわたって使用されてきたが、近年は120mm迫撃砲の性能向上などもあって、山岳部隊や機動力が重視される空挺部隊など重装備の運用制限が厳しい部隊か、発展途上国および後方の二線級部隊で使用される程度になってきている。
中砲
西側:口径150mm、155mm 東側:口径130、152mm
  • 戦間期から第二次大戦にかけては区分は「重砲」であり、ソ連赤軍大日本帝国陸軍などでは軍団ないし司令部に直属する軍団砲兵・軍砲兵の装備として運用されていた。しかしながら同時期のアメリカ陸軍・ドイツ陸軍においては、師団砲兵に1個大隊分の150mm級榴弾砲(M1 155mm榴弾砲15cm sFH 18)を野砲に変わって配備、軽榴弾砲との混成装備として火力増強を図った。
  • 122mmや150mmクラスのカノン砲は同口径の榴弾砲と比較し、極めて大重量(8t前後)であり性能も異なるため軍団砲兵・軍砲兵として運用される。
  • また、東側が第二次大戦後に制式化した130mm砲弾M-46 130mmカノン砲で使用される程度であり、その長射程と大重量から軍団砲兵で運用された。
  • 現在の先進国の師団砲兵では、軽榴弾砲を廃し155mm/152mm砲に集約されている傾向があり、自走榴弾砲も155mm/152mm口径のものが中心となっている。
重砲
西側:口径175mm、203mm、280mm 東側:口径180mm、203mm
  • 第一次、第二次両大戦において軍団砲兵・軍砲兵に配備され、攻城砲として要塞などの硬化目標の破壊や遠距離砲撃を任務とし、また、要塞砲沿岸砲としても運用された。
  • 現在では重砲の任務は航空攻撃かミサイル攻撃、MLRSBM-30などの長射程・多連装のロケット砲にとって代わられ、姿を消しつつある[2]
ロケット砲兵
ロケット砲を運用する。基本的には重砲の代替用途として、作戦術以上の階梯で運用される。
ミサイル砲兵
短距離弾道ミサイルなどの戦術地対地ミサイルを運用する。基本的には戦略階梯で運用される。

組織

九六式十五糎榴弾砲を運用する日本陸軍の野戦重砲兵(野戦重砲兵第7連隊砲兵トラクターである九八式六屯牽引車 ロケによって牽引中

国や時代によって様々な編制が存在するが、一般的な事例としては師団砲兵として1個師団に1個砲兵連隊が存在する。1個砲兵連隊の編制は2-4個大隊で、大隊は2-4個中隊で編成される。砲兵は中隊単位でバッテリーと呼ばれるひとそろいのシステムになっており、砲撃は最低でも中隊単位で行う。砲兵連隊の大隊数は同じ師団に属する歩兵連隊の数と関連しており、歩兵連隊数と同じ数の大隊が編成される。また、歩兵連隊を直協支援する部隊とは別に全般支援を行う重砲を運用する大隊が存在していることも多い。

砲兵連隊は砲列を構成する中隊に指揮小隊と観測班小隊に弾薬を運ぶ段列が集まって大隊が構成され、大隊が集まって連隊となる。砲兵はその運用に弾道学に基づく複雑な計算を必要とするために高い教育を受けた将校下士官を必要とする。教育水準の低い国では優秀な砲兵の確保が難しい場合も多く、砲兵の能力の低さから砲戦能力が制限されることも多く、砲兵将校の能力不足から間接射撃が行えずに直接照準に頼った運用が行われることもある。

陸上自衛隊

陸上自衛隊の事実上の前身である日本陸軍の時代においては、おおむね第二次世界大戦頃の砲兵の兵種として野砲兵山砲兵騎砲兵・重砲兵・野戦重砲兵・臼砲兵迫撃砲兵噴進砲兵速射砲兵高射砲兵機関砲兵船舶砲兵などに分かれていたが、現代では火砲の発達やドクトリンなどの進化により自然に統廃合が行われ、基本的に対地攻撃・対艦攻撃を行う野戦砲兵と対空攻撃を行う防空砲兵に分かれ、前者を野戦特科と後者を高射特科と称している。職種学校は野戦特科が富士学校特科部、高射特科が高射学校であり、それぞれ教育支援部隊として特科教導隊、高射教導隊が編成される。

現在の中期防では、火砲定数の大幅削減が計画されており、野戦特科部隊は、北部方面隊隷下部隊を除き、4個方面隊の師団旅団の特科(連)隊および、2個方面特科隊が廃止・縮小・再編され、方面隊直轄の特科(連)隊に再編される予定。また、第1特科団においても部隊廃止等が行われる予定である。

野戦特科部隊の運用

  1. 北部方面隊東北方面隊西部方面隊には方面隊直属の特科団もしくは方面特科隊が置かれている。特科団は2個特科群(それぞれ3個・2個特科大隊編成)と3個地対艦ミサイル連隊基幹、方面特科隊は1個地対艦ミサイル連隊・1個方面特科連隊基幹の編合部隊であり、155mmりゅう弾砲203mm自走りゅう弾砲多連装ロケットシステムMLRS88式地対艦誘導弾12式地対艦誘導弾を装備する。
  2. 北部方面隊、東部方面隊中部方面隊師団旅団(第14旅団を除く)には特科連隊もしくは特科隊が置かれ、155mmりゅう弾砲(北部方面区は99式自走155mmりゅう弾砲)を主要装備としている。師団特科連隊は本部中隊、情報中隊及び野戦砲5門から成る射撃中隊2-3個で編成される大隊3-5個からなり、師団・旅団特科隊は本部管理中隊と3-4個射撃中隊で編成される(第1、第3特科隊は、情報中隊も編成されている。)。師団・旅団の特性により内部編制は異なるため、詳細は各部隊の記事を参照されたい。なお、方面特科隊に隷属する「方面特科連隊」もこれに準じている。
  3. 中部方面特科隊[3] は方面隊直轄部隊として編成しているが、火砲の方面隊管理および、機動性を高めるために旅団化された第14旅団の特科隊を元に編成された155mmりゅう弾砲部隊である。第14旅団に平時隷属としている。編成は旅団特科部隊と同等である。
  4. 普通科職種が運用する120mm迫撃砲RTを野戦特科が装備している部隊がある。第1空挺団特科大隊水陸機動団特科大隊即応機動連隊の火力支援中隊がそれに該当する。
  5. 富士学校の野戦特科学生に対する教育支援のため特科教導隊が編成されている。

特科団・方面特科隊

特科団および方面特科隊は地対艦ミサイル連隊、方面特科連隊、特科群および直属する独立特科大隊を基幹とし、情報中隊に音響観測等を拡充した観測中隊(第303観測中隊は特科教導隊に隷属)1個と本部中隊をもって編成している。群隷下の独立特科大隊は師団・旅団火砲よりも重火力の火砲をもって方面全般の射撃支援を担う射撃大隊であり、必要に応じ、師団旅団の特科(連)隊、戦闘団を増強する予備戦力として運用する[注釈 1]。独立特科大隊は高射火器を装備する大隊を含めて33個大隊が日本各地で編成されたが、特科群等に編合され北方・東北方・西方のみの配置となっている。

第4師団・第8師団、第6師団・第9師団、および第14旅団は重武装である特科火力(FH-70)を方面隊直轄運用として再編成し、西部方面特科連隊東北方面特科連隊中部方面特科隊として編成している。編成は師団・旅団の特科(連)隊と同様の編成。西部方面特科連隊については西部方面特科隊、東北方面特科連隊については東北方面特科隊に、中部方面特科隊については第14旅団に隷属している。

特科群
特科群は、第1特科団に2個の計2個が編成され、本部中隊と数個の独立特科大隊を基幹として編成されている。特科群は、4個が編成されたが第1特科団に編合された第1特科群、第4特科群以外は、方面特科隊に改編され廃止された。第2特科群は東北方面特科隊へ、第3特科群は西部方面特科隊へ地対艦ミサイル連隊を編合し、増強改編された。

地対艦ミサイル連隊

地対艦ミサイル連隊は、第1特科団に3個、東北・西部方面特科隊に各1個の計5個連隊が編成され、本部管理中隊および4個射撃中隊基幹[注釈 2]となっている。本部管理中隊に捜索・標定レーダー装置12基とレーダー中継装置12基と指揮統制装置1基、各中隊本部に射撃統制装置が1基ずつ配備、各中隊に、6連装の発射機と装填機が4基ずつとミサイルが24発ずつ配備されている。本部管理中隊が索敵標定・指揮統制を行い、各中隊に伝達し、指揮小隊が射撃統制を行い各中隊ごとに射撃を行う。

地対艦ミサイル連隊は連隊の性質上、固定編成であるが、方面特科大隊のMLRSがクラスター弾からGPS誘導弾に換装したためMLRSによる限定的な対艦戦闘が可能になった。そのため、地対艦ミサイル連隊にMLRS大隊を増強させた対艦戦闘部隊を編成し、地対艦攻撃を行う。

師団特科連隊

特科連隊は普通科(戦車)連隊を直接支援する射撃大隊及び全般支援を担う射撃大隊を基幹とし、各射撃大隊等の支援を行う情報中隊及び連隊等本部を支援する本部中隊で構成されている。各射撃大隊には本部管理中隊及び2個以上の射撃中隊が編成され、大隊本部管理中隊が実際の射撃管制・諸元計算等の射撃に関する全般支援を担っている。

また、射撃大隊には普通科(戦車)戦闘団隷属指定された第1から第4大隊(普通科(戦車)連隊の数に対応する)と、師団全般の射撃支援を担う第5大隊が存在し、前者は全ての特科連隊に存在しているが、後者は北部方面隊の一部の特科連隊に限定されている。

師団・旅団特科隊

旅団特科隊は普通科連隊への射撃支援を担う射撃中隊3個及び射撃中隊の射撃管制及び隊本部の支援を担う本部管理中隊で構成されている。師団特科連隊と違い各射撃中隊に対する管制・諸元計算等は中隊単位では行わずに全て隊直轄の本部管理中隊が行っている。基本原則は中隊単位では各普通科連隊への射撃支援は行わず、特科隊全般が必要に応じて旅団隷下の特定の普通科連隊への射撃任務を行うが、状況に応じて普通科連隊への隷属が中隊単位で行われる事を想定し、中隊長の階級は射撃大隊隷下中隊の1尉に対し、一般には大隊長クラスとなる3佐が指定されており運用能力の向上を図っている[注釈 3]。第1・第3師団については「政経中枢師団」として編成されているため、特科連隊でなく大隊編成の無い特科隊であり旅団特科隊と同様に運用されるが情報中隊等が増強されている。

重迫撃砲を装備する野戦特科部隊

120mm迫撃砲RTは普通科連隊に編成される重迫撃砲中隊等[注釈 4]が装備し、普通科隊員が運用する。教育も陸曹教育隊普通科教育中隊、普通科教導連隊等で実施されているが、重迫撃砲を野戦特科隊員が運用する部隊が存在する。

第1空挺団特科大隊は従来105mmりゅう弾砲をヘリ空輸等で運用していたが、その後継であるFH70はヘリ空輸が困難である(仕様上は空輸可能[4] であるが実用的でない)ため、空輸しやすく口径の大きい重迫撃砲へ装備転換を実施した。3個射撃中隊編成となっている。

水陸機動団特科大隊も輸送性能等を踏まえ、重迫撃砲を装備した中隊を編成している。2個射撃中隊と1個火力誘導中隊で構成される。火力としては2個中隊規模であるが、火力誘導中隊は観測中隊・情報中隊と同様に観測斥候として砲の射撃要求・観測を行うほか、水陸機動連隊に「火力誘導班」として同行し、特科火力や艦砲射撃、近接航空支援(空対地爆撃)の火力誘導を行う。(なお、水陸機動団には普通科相当の水陸機動連隊の各中隊が重迫撃砲小隊を編成している)

即応機動連隊の火力支援中隊は普通科連隊の重迫撃砲中隊等を野戦特科職に職種・特技転換し、更に廃止された特科連隊の一部人員をもって編成されている。

野戦特科部隊の装備

詳細は「陸上自衛隊の装備品一覧」を参照

高射特科部隊の運用

  1. 特定の方面隊(北部方面隊・西部方面隊)には、2個高射特科群基幹となる高射特科団が置かれている。高射特科団は本部管理中隊と2個高射特科群で編成され、無線誘導機隊もしくは、それを増強した無人標的機隊をもって編成されている。地対空誘導弾改良ホークまたは03式中距離地対空誘導弾をもって中距離防空・対弾道ミサイル戦を担当する。
  2. 高射特科団を設置しない方面隊には、高射特科群または高射特科隊が1個置かれている。高射特科群は原則、本部管理中隊と4個高射中隊・1個高射搬送通信中隊(通信科)で編成され、地対空誘導弾改良ホークまたは03式中距離地対空誘導弾をもって中距離防空・対弾道ミサイル戦を担当する。東北方面隊隷下の第5高射特科群は2018年3月26日をもって廃止[注釈 5]され、大隊に準ずる隊(第101高射特科隊)へ縮小された。
  3. 師団に高射特科大隊、旅団には高射特科中隊(なお、第7師団と第15旅団は高射特科連隊、第11旅団・第12旅団・第14旅団は高射特科隊)が置かれる。師団高射特科部隊は原則として本部管理中隊と2個中隊で編成され、近距離・短距離地対空誘導弾を用いて師団・旅団・普通科戦闘団の防空(短距離・近距離防空)を担当する。第1高射中隊が近SAM装備、第2中隊が短SAM装備と装備ごとに中隊が編成されていたが、第3高射特科大隊、第6高射特科大隊のように、指揮情報中隊及び高射中隊に再編成された部隊もある。
  4. 戦車戦闘団に所属する部隊(第2高射特科大隊第3中隊・第7高射特科連隊第1-第4中隊)は87式自走高射機関砲を用いて戦車戦闘団の戦域防空を担当する。
  5. 例外として、第6高射特科群から改編した第15高射特科連隊は、03式中距離地対空誘導弾11式短距離地対空誘導弾を装備、高射搬送通信中隊を編成し、南西諸島における中距離・短距離防空および、対弾道ミサイル戦を兼ねて担当する。南西諸島の対処能力向上のため、宮古島石垣島及び奄美大島に開設された陸上自衛隊駐(分)屯地(予定を含む)に、第7高射特科群が移駐したほか本土から高射中隊を派遣する形で高射部隊が配備されている。
  6. 即応機動連隊の本部管理中隊には高射小隊が編成され、同師旅団の高射特科部隊から管理換えされた93式近距離地対空誘導弾をもって即応展開した部隊の防空を担当する。
  7. 高射学校学生に対する教育支援のため高射教導隊が編成されている。
  8. 03式中距離地対空誘導弾よりも長距離射程の装備(PAC-3)ついては、航空自衛隊の高射群の担当となる。
高射特科の改良ホーク

高射特科団

高射特科団」、「第1高射特科団」、「第2高射特科団」を参照。

高射特科群

高射特科隊

高射中隊

師団高射特科連隊

第7高射特科連隊を参照。

旅団高射特科連隊

第15高射特科連隊を参照。

師団高射特科大隊

旅団高射特科隊

旅団高射特科中隊

即応機動連隊本部管理中隊の高射小隊

JGSDF Northern Army.svg北部方面隊

JGSDF North Eastern Army.svg東北方面隊

JGSDF Middle Army.svg中部方面隊

JGSDF Western Army.svg西部方面隊

高射教導隊

高射特科部隊の装備

地対空誘導弾

対空レーダー

指揮装置

運用術

対地攻撃を担っている野戦砲兵の任務の1つは、戦闘前面で直接照準射撃を行う近接戦闘部隊を、間接照準射撃によって後方から掩護攻撃することである。また、これとは別に砲の長射程化とロケット・ミサイルなどの発達により、砲兵と砲兵の火力戦闘、いわゆる対砲兵戦が前線の近接戦闘部隊の援護に先だって行われる事も多い。初期の対砲兵戦に勝利出来れば、以後の近接戦闘においても有利な戦闘が期待できる。

戦技

主な砲兵の作業として「観測」、「射撃」、「移動」がある[5]

観測

野戦砲兵は砲兵隊員自身や他部隊の隊員による前進観測員からの射撃要請や航空機・人工衛星による攻撃目標情報の他にも、前線後方に位置する砲兵部隊自身が行う観測も実施する。

気象観測
火砲は温度・湿度・気圧や風向・風速によって着弾地点は大きく変化するため、射撃に先立って随時、気象観測が行われる。発射地点での温度・湿度は装薬の燃焼速度を変化させ、発射後の弾道経路の空中における気圧や風向・風速は弾道を変化させる。発射地点での温度・湿度・気圧は容易に計測できるが、弾道経路そのものは無理としても、発射地点付近上空の風向・風速は小さなバルーン、またはラジオゾンデによって観測される。昼間の使用に限定されるバルーンの動きは目視観測によって追跡され夜間でも使用可能なラジオゾンデは追跡レーダーによって追跡され、同時に空中の温度や気圧が受信される。ラジオゾンデは電波が敵に受信されることで砲兵の射撃準備が察知されるため、使用には配慮が求められる。
音響観測
音源標定とも呼ばれ、集音マイクを5-6個、広い範囲に事前配置して分析装置と有線接続する。昼夜の別なく敵の初弾発射音からその位置を直ちに特定できるため、非常に有効であるが配置には時間が掛かる。
対砲迫レーダ観測
対砲迫レーダによって敵の砲弾が空中を飛翔している弾道を精密に測定し、発射地点を特定する。アンテナの設置によっては放射可能なレーダー波の方向がある程度限定され、敵の射撃以前にレーダー波を放射すれば、自ら対砲迫レーダの位置を教えてしまう危険があるため、通常は敵の初弾発射後に観測が開始できる。
火点観測
敵の発射炎や発射煙を観測して発射位置を特定する。遠距離射撃が主体となった近代戦闘ではあまり発生しない。
射弾観測
砲弾の落着、あるいは曳火破裂した位置が目標に対してどのような位置関係にあったかを観測し、射撃修正の要不要や射撃諸元の修正程度を算出する。

これらの情報や他部隊部から情報も含めて、すべてを素早く伝達・分析して敵の位置を特定し有効な射撃を行う。そのためには、コンピュータとデジタル通信を活用した情報技術が導入されている[5]

射撃

詳細は「射爆理論」を参照

野戦砲兵部隊の砲撃は綿密な射撃計画に基づいた「計画射撃」を行うことが多いが、戦闘正面の部隊からの射撃要請によって開始する「要請射撃」、また、野戦砲兵部隊の前進観測者が後方の野戦砲兵部隊に目標座標を伝達して行う「臨機目標射撃」もある。その射撃の方法には大きく分けて弾幕射撃と集中射撃がある。

弾幕射撃
特定の地点を狙うのではなく、敵のあらゆる行動を妨害、無力化することを目的とし、戦線に対して横一列に並んだ砲撃を加える射撃である。この弾幕射撃を戦闘部隊の前進と速度を合わせて前方に狙いを変えていけば、前進弾幕を行うことができる。前進弾幕を的確に行えば前進する部隊は敵の反撃を受けることなく前進することが可能である。
集中射撃
特定の目標に対する射撃であり、一点に砲撃が集中される。

移動

戦闘状況下における砲兵の移動は2種類に分かれる。1つは、戦闘前面の移動や近接戦闘部隊の移動に合わせて、その展開位置を移動することであり、随時行なわれてそれほど緊急性はない。別の1つは、敵への射撃後に予想される敵砲兵からの対抗射撃による攻撃を避けるために移動することであり、可能な限り素早く移動することが求められる。もちろん、こちらから射撃を行わないうちに、攻撃を受けた場合も素早く移動する必要がある[5]

自衛戦闘

白兵戦」を参照

間接射撃を専門とする砲兵部隊は、敵と接近戦闘する状況は出来るだけ避けなければならないが、不可避な場合には最低限度の自衛が行えるように接近戦闘用の兵器として、間接射撃用火砲に直接照準用の照準具が備わっていたり、兵士の個人武装として機関銃ライフルピストルといった小口径火器も配備されている場合が多い。

戦術

支援射撃
敵部隊を壊滅、無力化、または制圧して前線の歩兵部隊を火力支援すること。壊滅とは、部隊が30%以上の人員損耗を受け、戦闘力を大幅に喪失して補充などを受けねば戦力にならない状態を指す。無力化とは、部隊が10%以上の人員損耗を受け、数時間は交戦できない状態を指す。制圧とは、敵兵の攻撃を中断させ、掩蔽へ追い立てて応射の精度と威力を削ぐことである。
これらの損害率は、あくまで大隊以上の戦術単位の人員・車輌の損耗に対するものであり、分隊・小隊・中隊といった戦闘単位の損害率ではない。歩兵分隊に3名の死傷者が発生しても「壊滅」とは表現しない。大隊以上の部隊には、最前線の主力部隊の他に火力支援部隊・戦闘支援部隊が付随している。兵科によって異なるが、これらの支援部隊は前線の後方で各任務に従事しているため、全体で30%の損害が発生しているということは、最前線では更に大きな損害を受けているということである。
  • 制圧射撃
    戦線上の敵部隊を制圧することで、敵の自由行動を阻止し、味方の行動機会を作るために行われる。
  • 前進支援射撃
    攻撃(特に陣地攻撃)を行なう時に、攻撃側が戦線上の敵防御部隊に対して射撃を加えることで、これを支援するために行われる。縦進陣地を攻撃する場合は移動弾幕射撃が行なわれうる。
  • 突撃支援射撃
    突撃を行なう時に、攻撃側が最前線上の敵防御部隊に対して射撃を加えることで、これを支援するために行われる。
  • 最終防護射撃(突撃破砕射撃)
    防御側が突撃に相対した時に、敵の突撃部隊に対して弾幕射撃を加えることで、突撃を破砕するために行われる。
  • 標示射撃
阻止射撃
まだ攻撃や防御の態勢が整っていない敵を攻撃して損害を与えること。敵の基地や後方連絡線、集結地点、兵站本部などを狙う。
阻止射撃には、攻撃準備破砕射撃や交通遮断射撃を含む。
  • 攻撃準備射撃
    攻撃に先立って、戦線上の攻撃予定地域に砲撃を加えることで、敵の防御を阻害すること。
  • 攻撃準備破砕射撃
    敵の攻勢が開始される直前に、第一線付近に集結した敵部隊を砲撃すること。
  • 交通遮断射撃
    敵の予備兵力の増援や配置転換による移動を妨げ、弾薬・糧食等が最前線へ補給されるのを阻止するために道路や連絡網に損害を与えること。
対射撃
直接または間接照準射撃を行っている敵の火器や観測所、指揮統制施設を破壊する砲撃である。特に、敵の火砲・迫撃砲に対する射撃を「対砲迫射撃(英語版)」という。
通常、砲兵の攻撃準備が整うまでは迫撃砲による対射撃を行うが、これが標示射撃を兼ねることも多い。

脚注

[脚注の使い方]

注釈

  1. ^ 一般的に群長の高級幹部としての名簿上における序列は、各師団等普通科連隊の次級者になる例も多い。
  2. ^ 第4地対艦ミサイル連隊は2個中隊基幹、第5地対艦ミサイル連隊については第301〜第303地対艦ミサイル中隊含む7個中隊基幹。
  3. ^ 射撃大隊本部管理中隊が行っていた人事・訓練・補給等の業務を射撃中隊単位で行う事・中隊単位で隷属する場合における旅団普通科連隊に対する射撃任務上、1尉では指揮能力上の問題がある事などから、指揮官は3佐が指定される他に補佐として1尉の副中隊長が設置されている。
  4. ^ 旅団には、本部管理中隊に小隊として編成。
  5. ^ 26中期防において地対空誘導弾部隊が8個群から7個群に改められたことに伴う処置。

出典

  1. ^ マクニール (2002) p.230
  2. ^ 高井三郎著 『現代軍事用語』 アリアドネ企画 2006年9月10日第1版発行 ISBN 4384040954
  3. ^ “陸上自衛隊 松山駐屯地 駐屯部隊”. 陸上自衛隊松山駐屯地. 2018年4月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年4月1日閲覧。
  4. ^ “輸送ヘリ(CH-47J)と155mmりゅう弾砲FH70”. 1992年度防衛白書 第2章 わが国の防衛政策. 防衛省. 2020年2月5日閲覧。
  5. ^ a b c 加藤健二郎著 『いまこそ知りたい 自衛隊のしくみ』 日本実業出版社 2004年1月20日初版発行 ISBN 4534036957

参考文献

関連項目

陸上自衛隊の職種
  • 施設科
  • 通信科
  • 武器科
  • 需品科
  • 輸送科
  • 化学科
  • 警務科
  • 会計科
  • 衛生科
  • 音楽科
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