ジュゼッペ・コンテ

ジュゼッペ・コンテ
Giuseppe Conte
Giuseppe Conte (cropped).jpg
イタリアの旗 イタリア共和国 22
Ovale Presidenza Consiglio.svg 第65・66代 閣僚評議会議長
任期
2018年6月1日 – 2021年2月13日
大統領セルジョ・マッタレッラ
前任者パオロ・ジェンティローニ
後任者マリオ・ドラギ
個人情報
生誕 (1964-08-08) 1964年8月8日(58歳)
イタリアの旗 イタリアヴォルトゥラーラ・アップラ
政党(無所属→)
五つ星運動
配偶者ヴァレンティナ・コンテ
出身校ローマ・ラ・サピエンツァ大学
専業
  • 大学教授
署名

ジュゼッペ・コンテGiuseppe Conte1964年8月8日 - )は、イタリア政治家法学者。フィレンツェ大学教授。五つ星運動党首。

同国閣僚評議会議長(首相、第65・66代)を務めた。

経歴

左からコンテ、フィンランドのサンナ・マリン首相、イタリアのエンリコ・レッタ元首相(2022年5月18日)

プッリャ州フォッジャ県ヴォルトゥラーラ・アップラ出身。

2018年3月4日の総選挙左派ポピュリズム五つ星運動が大勝し、5月21日に同党は右派ポピュリズムの同盟と共に閣僚評議会議長としてコンテをセルジョ・マッタレッラ大統領に推薦[1]。同月23日に大統領はコンテを首相に指名し、組閣を指示した[2]。しかし経済相候補に立てた欧州懐疑主義パオロ・サボナ(英語版)元産業相をマッタレッラ大統領が拒否したため、27日になってコンテはいったんは組閣断念を表明した[3]。しかしその後、サボナを経済相から欧州担当相にスライドさせるなどの妥協が図られ、再びコンテが首相に指名され、6月1日に政権が発足した[4]

しかし、左右のポピュリストが同居する連立政権内は意見の相違により多くの政策で折り合わず、2019年8月、マッテオ・サルヴィーニ副首相(同盟の党首でもある)は対立激化を理由に早期の解散総選挙を要求[5]。コンテはこうした要求を拒否したため、サルヴィーニは連立離脱を表明し[6]、内閣不信任決議案を提出した。連立相手の五つ星運動はこうした動きを非難し、連立政権が事実上崩壊[7]。8月20日にコンテは首相を辞任すると表明した[8]

8月29日、五つ星運動と中道左派の民主党が連立政権の樹立で合意したことを受けてマッタレッラ大統領はコンテを首相に再指名し[9]、9月5日に欧州懐疑主義を後退させた第2次コンテ内閣を組閣した[10]

2020年の新型コロナウイルス感染症拡大の局面では、欧州連合の資金を活用しての復興政策について連立相手のイタリア・ヴィーヴァ(IV)を率いるマッテオ・レンツィ元首相が政府案に対して投資を重視していないと批判するなど対立が生じるようようになった。2021年1月13日にレンツィは連立政権からの離脱を表明し内閣から閣僚を引き上げ、コンテ内閣は少数与党に転落した[11][12]。下院に提出されたコンテ内閣の信任決議案は否決されるだろうとの見通しを示すなど強硬な姿勢を示したが[13]、世論の支持は得られずIVの支持率は低迷。18日から19日にかけて上下両院で行われた信任投票の採決でもIV所属議員が棄権や欠席に回ったこともあって信任決議は可決され、コンテは危機を乗り切った[12]。とはいえ少数与党で政権運営が苦しい状況は変わらず、1月26日にコンテは首相を辞任すると表明した[14]

8月7日、党員によるオンライン投票の結果五つ星運動党首に選出された[15]

政策

欧州連合(EU)の加盟国ではギリシャに次いで公的債務の対GDP比が高いイタリアでポピュリストを自任するコンテは就任当初から緊縮財政に反対する政策を掲げ[16]、これに対して欧州委員会も2018年10月に史上初の加盟国に対する予算案差し戻しで修正を要求して対峙した[17][18]。また、移民難民に対する受け入れ規制も大幅に強化した[19]

2019年3月、中国一帯一路協力の覚書にG7で初めて調印してアメリカ合衆国やEUの懸念を呼んだ[20]。同年4月、年金受給開始年齢を62歳へ引き下げた。各国が財政難を背景に受給開始年齢を引き揚げ傾向にある中で異例の措置であり、同時期に大規模減税とともに目玉公約に掲げていたベーシックインカム制度も導入した。なお、これらの裏付けとなる財源については、制度発足段階では担保されず[21]、同年5月に欧州委員会はイタリアの財政規律違反を認定して「過剰財政赤字是正手続き」(EDP)の開始を勧告したことに対してコンテは安定・成長協定(SGP)を改正すべきと反発していたが[22][23]、同年7月に財政赤字目標を引き下げたことでEDPの正式開始は見送られた[24]

再任後は2019年9月の所信表明演説で第1次内閣の方針を修正してEUとの融和路線を打ち出した[25]。新型コロナウイルス感染症の流行の際はミラノベネチアなどの都市を封鎖し[26]、イタリア全土に外出禁止令を発動した[27]

脚注

  1. ^ “イタリア2党、次期首相に大学教授のコンテ氏推薦 大統領が検討へ”. ロイター. ロイター. (2018年5月22日). https://jp.reuters.com/article/italy-politics-21-idJPKCN1IM2FN 2018年5月22日閲覧。 
  2. ^ “新首相にコンテ氏、手腕未知数=伊連立2党トップが実権か”. 時事通信. (2018年5月24日). https://www.jiji.com/sp/article?k=2018052400783&g=int 2018年5月24日閲覧。 
  3. ^ “イタリア首相候補が組閣断念 EU懐疑派入閣に異論”. 日本経済新聞. (2018年5月28日). https://www.nikkei.com/article/DGXMZO3103329028052018000000/ 2018年5月28日閲覧。 
  4. ^ “イタリアで再び連立合意、首相指名のコンテ氏が組閣へ”. ロイター. ロイター. (2018年6月1日). https://jp.reuters.com/article/italy-politics-idJPKCN1IW331 2018年6月3日閲覧。 
  5. ^ “イタリア副首相、早期の解散総選挙を要求”. 日本経済新聞. (2019年8月9日). https://www.nikkei.com/article/DGXMZO48399780Z00C19A8000000/ 2019年8月20日閲覧。 
  6. ^ “イタリア、コンテ首相はサルビーニ氏と対決の構え-10月にも選挙か”. bloomberg.co.jp. ブルームバーグ. (2019年8月9日). https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-08-08/PVXLO7DWLU6M01 2019年8月20日閲覧。 
  7. ^ “サルビーニ氏は「もはや信頼に足る対話の相手でない」-五つ星が表明”. bloomberg.co.jp. ブルームバーグ. (2019年8月19日). https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-08-19/PWGVGK6KLVR501 2019年8月20日閲覧。 
  8. ^ “イタリア首相、辞意を表明”. AFPBB News. フランス通信社. (2019年8月20日). https://www.afpbb.com/articles/-/3240661 2019年8月20日閲覧。 
  9. ^ イタリア首相、辞任のコンテ氏が再登板へ 中道左派と新興政治勢力が連立合意 毎日新聞 2019年8月29日配信 2019年8月29日閲覧
  10. ^ “イタリアで五つ星、民主党の左派連立発足 第2次コンテ内閣”. 産経ニュース. (2019年9月5日). https://www.sankei.com/article/20190905-AKS575IINFLADGZ3KRNYI4QLIM/ 2019年9月9日閲覧。 
  11. ^ “イタリアのレンツィ元首相が連立離脱、政局一段と不透明に”. ロイター. (2021年1月14日). https://jp.reuters.com/article/italy-politics-idJPL4N2JO3SK 2021年1月26日閲覧。 
  12. ^ a b “レンツィ元首相の乱、失敗 イタリア国民、政局に冷淡―コンテ内閣、両院で信任”. 時事ドットコム. 時事通信. (2021年1月23日). https://www.jiji.com/jc/article?k=2021012200913&g=int 2021年1月26日閲覧。 
  13. ^ “コンテ伊首相は不信任となる見通し=レンツィ元首相”. ロイター. (2021年1月15日). https://jp.reuters.com/article/italy-politics-idJPKBN29K11O 2021年1月26日閲覧。 
  14. ^ “イタリア首相が辞任、新型ウイルス対策めぐり内紛 新連立を模索へ”. BBC. (2021年1月27日). https://www.bbc.com/japanese/55821132.amp 2021年1月29日閲覧。 
  15. ^ “コンテ前首相、五つ星運動の党首に選出”. ヨーロッパ経済ニュース. 2021年8月10日閲覧。
  16. ^ “イタリア新首相「我々はポピュリズム政権」 上院で所信表明”. 日本経済新聞. (2018年6月5日). https://www.nikkei.com/article/DGXMZO31416050V00C18A6FF8000/ 2019年8月26日閲覧。 
  17. ^ “欧州委、規律違反でイタリア予算案を差し戻し 史上初”. AFPBB. (2018年10月24日). https://www.afpbb.com/articles/-/3194445 2019年8月26日閲覧。 
  18. ^ “欧州委、イタリアに予算案修正を要求 史上初”. BBC. (2018年10月24日). https://www.bbc.com/japanese/45961814 2019年8月26日閲覧。 
  19. ^ “移民・難民に「制限」、イタリア閣議決定 治療目的などに限る”. 朝日新聞. (2018年9月25日). https://www.asahi.com/articles/DA3S13695560.html 2019年8月26日閲覧。 
  20. ^ “イタリアと中国が「一帯一路」で覚書-G7で初、米や欧州から懸念も”. ブルームバーグ. (2019年3月24日). https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-24/POUX2T6S972801 2019年8月26日閲覧。 
  21. ^ “"年金開始62歳"で大混乱のイタリア経済”. 2019-06-13 (2019年6月13日). 2019年6月18日閲覧。
  22. ^ “イタリアは「財政規則違反」、EUが是正手続き開始を勧告”. ロイター. (2019年6月5日). https://jp.reuters.com/article/eurozone-italy-debt-idJPKCN1T618L 2019年8月26日閲覧。 
  23. ^ “イタリア首相もEU財政ルールに異議-欧州委の制裁手続き勧告に反発”. ブルームバーグ. (2019年6月6日). https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-06-06/PSO1SX6S972B01 2019年8月26日閲覧。 
  24. ^ “イタリア、財政赤字巡る制裁手続き回避-EUが予算修正を了承”. ブルームバーグ. (2019年7月3日). https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-07-03/PU2I6T6VDKHS01 2019年8月26日閲覧。 
  25. ^ “伊首相、「EUと融和」表明 前政権の方針見直し”. 共同通信. (2019年9月9日). https://this.kiji.is/543762548197262433?c=39546741839462401 2019年9月9日閲覧。 
  26. ^ “ミラノやベネチアなど「封鎖」へ 伊首相、人の移動制限”. 朝日新聞. (2020年3月8日). https://www.asahi.com/articles/ASN386J6LN38UHBI00X.html 2020年3月10日閲覧。 
  27. ^ “伊、世界初の全土移動制限へ…警官が外出理由尋ねることも”. 読売新聞. (2020年3月10日). https://www.yomiuri.co.jp/world/20200310-OYT1T50140/ 2020年3月10日閲覧。 

関連項目

外部リンク

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